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熟年離婚

「お母さんたち、熟年離婚なんてみっともないことすんなよ」と息子。嫁も一緒に来ている。
「そうですよ、お母さん、今更一人でどうするんですか?」だって。
別に、いいの。独身に戻って、故郷の山口に帰るの。向こうに妹の家族もいるしね。老後は大丈夫よ。お母さんも働いてたし、年金ももらってるしね。
熟年離婚の半数以上は、妻の側からだって。それ、分かる。
別に復讐しようっていうんじゃないの。
ただ、この人の妻としてこのまま生きて行って、お墓とかにも彼の妻として葬られると思ったら、虫唾が走ったの。
虫唾が走るくらい憎んでいたのかといったら、違う。
夫は夫で、いい人だと思うし、別にお酒を飲むくらいで悪いところなんか一つもない。
息子もよく成長したし、もう結婚もしたし。
熟女と童貞
ただ、憎んでいたのは私。「彼の妻としての私」のことを恨んでいたの。憎んでいたの。
熟年離婚は、女にとってある意味、卒業みたいなものなの。
なんて、他人に言ったところで理解されないのは分かってる。
「おれは別にかまわないぞ。定年してるし、趣味の釣りでもしながらのんびりやるから」って夫は言った。
彼なら大丈夫。飲み屋で適当な女の人を見つけるでしょう。世話焼きで、料理上手な、釣った魚をさばいて料理してくれるような女の人。
私は違うの。故郷に帰って、子どもの頃みたいに、友達と遊んだり、趣味の仲間とか見つけるの。
そして、学生みたいに、あの男性、ちょっといいわね、なんて軽口叩きながら珈琲屋さんで夜までおしゃべりしたいの。
男が、別の世界の生き物だったあのころに戻りたいだけなの。
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